操体法大辞典

操体の専門家による、操体の最新情報など

第30回全国操体バランス運動研究会in仙台(二日目)

二日目、朝8時前私達一行は仙台駅前に集合した。

マイクロバスをチャーターし、橋本敬三先生のお墓参りに行くのである。

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結構遠足状態。

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お花を飾り、一人一人お線香を上げ、手を合わせ、それぞれの思いを墓石に語りかけ、一路東京エレクトロンホール(宮城県民会館)へ。

二日目は、操体の実技に関するディスカッション。スピーカーは、奈良の北村先生、岡山の遠藤先生、若いころから温古堂に出入りしていた、加藤平八郎先生。加藤先生はいわば「消費者代表」として、様々な疑問をなげかけた。

「きもちよくうごけ」といってもわからない。

これは、私のところにくるクライアントの皆さんの多くが訴えることである。中には「腰が痛いのに『きもちよく動け』と言われてハラが立った」という意見などもあったりする。

これは「きもちよく動く」前に、その動きがきもちいいのか、そうでないのかまず診断分析を行う必要があるのだ、と言いたい。

操体のキモは「快か不快かききわける力(原始感覚)」と、言ってもいいが、原始感覚が鈍りがちな現代人にとって、いきなり「きもちよく動け」というのはなかなか上手くいかないことのほうが多いのだ。

ストレッチなどで「きもちよく伸びましょう」とか言うのは構わない。ストレッチでは操体ほど「快適感覚」にフォーカスを当てていないからだ。

しかし、操体には「動診」(診断・分析)と「操法」(治療)という二つのステップがあるので、最初に「診断・分析」を行う必要がある。

なので最初に「その動きにきもちのよさはあるか」というように、問いかけを行うのである。

きもちいいのかどうかは、動診してみないと、わからないのだ。

★楽を問いかける際は「どちらが楽ですか、辛いですか」と、問いかけ、快適感覚、きもちよさを問いかける場合にはm「この動きにきもちのよさがききわけられますか(ありますか)?」というように問いかける。

★「どちらがきもちいいですか」という問いかけは、妥当ではない。二者択一の問いかけならば「どちらが楽ですか、辛いですか」とする。

こうやって考えると、やはり問題は集約されてくる。

  • 楽(な動き)と快(適感覚)の違いが明確になっていない(ということは、動診操法もこの二つを混同している)
  • 動診と操法の手順の区別がついていない

これが、大きな問題の二つ。

別の観点から言えば、時系列によって、創始者が言っていることが変わってきていること、それも認識する必要があるだろう。

もう一つ。関東と関西の違い。

これはいつも感じる。何というか、操体に関西のテイストが加わっているのである。芸風の違いとでも言えばいいのだろうか。これはなかなか面白い。言葉の誘導などもかなり違う。私達は「頑張るな威張るな欲張るな縛るな」の言葉に従って「頑張って動け」といういい方はしないが、

「ぐ〜っと」とか「ぎゅ〜っと」とか「頑張って〜」という掛け声が耳についた。「ぐ〜っと」という言葉を使うと、被験者はその文字通りに「ぐ〜っと」力む。「頑張って〜」というのも力みにつながる。

ああ、力ませて、力をたわめて、瞬間的にドスンと抜くように、正体術のような脱力なんだな、と、わかる(いい悪いの問題ではなく、客観的に見ているのであしからず)。

★何か違った場合「自分がやっているのとは違う」と言うだけでなく、何故違うのか、その理由は何故なのか考えてみるのも勉強になる)

橋本敬三先生の映像をみると「静かに、静かに」「ぽたっ」というような、にごりのない(東北弁の濁音は除きます)言葉を使われている。

た、お膝元の東北よりも関西地方で強固なネットワークがあるのも何だか不思議である。

そんな感じで加藤先生@消費者代表の質問は改めて色々考えさせられたのであった。

そうして閉会。

その後三浦先生と世話役人会に出席。

来年は大阪で開催決定。

皆様、お疲れ様でした。

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その後は瑞鳳殿へ。