いよいよ東京操体フォーラムが近くなってきました。
準備を着々と進めております。
さて、GWに開催予定の「臨床家のための視診触診気功講座」について、質問をいただいたのでお答えしようと思います。
質問者の方が一体どのような手技療法をなさっているのかは分かりませんが、
メールアドレスからすると、整骨院あるいは接骨院(柔道整復)に
お勤めのようです。
「はじめまして、このセミナ-は操体法を治療に使っていない者にも色々参考になる勉強会なのでしょうか?お忙しいところすみませんがご説明下さい。」
とのことです。
参考になります。しかし、そんなの役に立たないと思う方にとっては不要です。
操体のメインは、「動診」(動かして診る)ことです。
しかし、その前に、如何なる手技療法においても、それが「お客の言う通りに、凝ったところを揉む」とか「時間いくらでほぐす」という、慰安的なことをしていない限り、
「視診触診」(正確には、この前に「問診」が入ります)は必須スキルです。
必須スキルというか、臨床家としての、「接客マナー」ではないでしょうか?
視診触診は、手技療法家にとっては、コアスキルですし、
素晴らしい手技の下には、コアスキルの充実があります。
そして、私は手技療法界の、様々な療法の素晴らしい先生方を
知っておりますが、共通しているのは
「視診触診力」の素晴らしさと「感性の素晴らしさ」です。
売れっ子?の先生で、触り方が下手とか
触り方がねちっこいとか、何だか不愉快だとか
目線の使い方がおかしいという先生はいません。
つまり、色々なワザやテクニック以前の問題なのです。
先日、あるお店でお昼を食べました。
入り口に靴を脱いで上がる座敷があるのですが、
私達の奥に座った営業マン風の男性三名は、
靴を揃えずに、ぶんなげたまま脱いでいました。
ぶん投げ脱がれた靴を踏んづけて行く人もいました。
その時、私は師匠と一緒にいたのですが、
「普段のマナーで、仕事ができるかどうかわかる」
という師匠の一言で、私も納得しました。
例えば、余所の家に行って靴を脱いだら揃えるとか、
お座敷に上がる時は靴を揃えるということは、
まずは親が教えないと子供は覚えません。
まあ、親が教えなくても
もう少し大きくなって
柔道を習うとか、剣道を習うとか、礼儀作法に厳しい習い事を
すれば、覚えるかもしれません。
靴を揃えるということが、剣道とか武術とかと
どう関係あるかという
それは、ばっちり関係してきます。
★この、靴を揃えるとか、
口にモノを入れながら喋るなとか、
テーブルに肘をついてモノを食べるなとか
洋服はたたんどけ、という、基礎的なマナー(いわゆるコアスキル)が
視診触診だといってもいいでしょう。
なお、
質問なさった方は、整骨院ご勤務のようです。
整骨院は保険の点数の関係もあり「痛いところにに触れてナンボ」ですから
クライアントの訴える症状と、症状の原因の火元が違うということが
結びつかないかもしれません。
★実際に、現場で経験を積んでいらっしゃれば
「視診触診」という基礎でありコアスキルの大切さは、
身をもって経験するからです。
「クライアントの訴えが、必ずしも症状疾患には結びつかない」
「臨床は殆ど想定外」だからです。
なので「診断・分析力」を鍛えることが必要なのです
そして、もう一つ。
男性の先生には申し訳ないのですが
「その先生の触れ方がきもちわるかった」という女性のクライアントは
結構多いのです。
私のところには結構いらっしゃいます。
★まあ、私のハハやハハの友人のように
「接骨院行って保険適応で(安価に)若いオトコの先生にもんでもらうだけで満足」というのもいますので、それはそれでニーズだと思います。
しかし、
丁寧にと気を遣いすぎて、逆にいやらしい感じがしたり
執拗にいつまでも触っているとか
(以上実話です)
施術者の触れ方で、印象と結果が決まると言ってもいいのです。
「触診の方法が、他の治療法に役に立つのか」と言われれば手技療法は触診ありきですから、これは、避けて通れません。また、触れない気功などは
「先生の目つき」を気にするクライアントは多いのです。
「きもちわるがられない、触れ方」それも視診触診講座の一つです。
★触れ方、見方を学ぶのは
何も操体のみの専売特許ではありません。
しかし、当然ですが「視診触診なんて関係ない。テクニックを覚えればいい」という
方には必要ありません。
そして「気功」に関しては、視診触診力を飛躍的にアップさせると申しておきましょう。そしてこれも当然ですが「気功なんて役に立つわけないじゃん、テクニックを覚えればいい」という方には必要ありません。