先日、仙台の奥座敷、秋保の慈眼寺に、塩沼亮潤大阿闍梨を訪ね、お話を伺いました。
その際、大阿闍梨が「感覚」の重要性についてお話して下さいました。
★瑞鳳殿へ向かう並木道
感覚というのは、とても繊細なものです。
いや、オレは鈍感だよ、という人でさえ、本人の「エゴ」は鈍感を装っていても、からだは反応していることがあります。
さて、私は操体法東京研究会で独立した講座を持っています。
足趾の操法と視診触診講座です。
ちからを入れているものの一つに「触れ方のマナー」というものがあります。
これは、タームが変わるごとに必ずやりますが、一般的に学校では「触れ方のマナー」をいうものを教えません。OJTで覚えるか、先輩を真似るか、自分で痛い目に遭うかでもしないと、覚えられません。
例えば、足趾の操法を行う場合、ガタイのいい男性の施術者が、小柄な女性の被験者に操法を行う場合、女性の足の幅が狭いので、足幅を調整(殆どは広くする)することがありますが、その際に
「はい、足を開いて」
と、言う男性の受講生とかいたりします。
その場合、私にこっぴどく怒られます(笑)。
「足を開け」というのはそれが例え臨床とかリラクゼーションであっても、女性(年齢を問わず)に言う言葉ではありません。
★どういう対応をすればいいのか、ということを指導します。
その昔、椅子座位の40代の女性に「マタ開いて」という指示をして、私が雷を落とした輩もいます。言語道断です。
そして、中には黙って両足をもって足幅を広げるという暴挙に出る輩もいます。
これも私に怒られます。
「そんなことやると、クライアントはにっこり笑って帰るけど、二度とこないゾ!」
これは、実際男性の受講生にも受けてもらうのですが、男性の被験者が、男性に「足を開いて」と言われるのは、あまりいい気分ではありません。
そして、黙って足幅を「がばっ」と広げられると、男性でさえ不快感を感じます。
男性の受講生の中には「お婆ちゃんだから関係ない」という方もいますが、それは大間違いです。年配の女性こそ、気を遣うべきです。
そして、女性のクライアントは「この先生は触り方がイヤだ(乱暴だ)」と思ったりすると、にっこり笑って帰りますが、二度と来ません(実話)。
かといって、丁寧(というかしつこいとか爬虫類っぽいとか)だと、これもキモチワルイので、いやがられます。
ちなみに、上手い男性の先生は、こういうところのやり方が上手いのです。というか、触れ方や立ち居振る舞いが性別を超越しているという感じです。
また、パートナーや奥さんや恋人は、余程ひどいことをしない限りは無言で許してくれるかもしれませんが(いつまで許してくれるかは、わかりませんよ)、同じような感じで、クライアントに触れるというのは、プロとしては失格です。
また、クライアントのからだは、クライアント以上に感覚が鋭いものです。本人が、いわゆる感覚鈍磨になっていても、からだは微妙に反応します。
からだは、操者を観ているというわけですね。