私はわりと頸椎系のトラブルに遭遇したことが多いかなと思います。
修行をさせてくれたんでしょうね。
昨年、マドリッドでセミナーをやった際、感じたのが「首にトラブルを持っている人が多いのでは?」ということでした。
実際聞いてみると、雨が降った時の追突(あまり雨が降らないので、雨が降ると大変らしい)事故がかなり多く、参加者の中にもムチ打ちで未だに調子が悪いという人がいました。
私にせよ、開業当初はムチ打ちの方に手こずったことがあります。
ムチ打ちと膝の痛み、四十肩五十肩というのは、臨床家泣かせの症状疾患です。
というか、こういうクライアントに当たらずして、臨床家として成長するには避けられません。
さて、操体で得意なことの一つに、「患部に触らずに症状疾患を解消する」ということがあります。
何度か書いているのですが、以前、Amazonで「万病を治せる妙療法」の英語版を、中古で買いました(今は再版されてますが、当時は絶版だったのです)。
ここに、橋本先生が「五十肩は足首の調整で治る」と書いてあり、そのページには、私の前の持ち主が、赤鉛筆で「?」と書いてありました。
そうです。前の持ち主は「肩の痛みが足首の調整で治る」という意味が分からなかったのです。
操体でも、第一分析では、首の運動分析をして、辛い方から楽な方へ動かして、瞬間的に抜くというやり方があります。
しかし、これにはデメリットがあります。いずれにせよ、痛みがあるところを動かさないといけません。多少なりクライアントに負担がかかります。
なので、頸部に触れずに、頸椎症にアプローチするわけです。
マドリッドのセミナーでは、最初にアシスタントが被験者の頸部を触診し、圧痛や硬結などをチェックします。
三浦先生が被験者の足元に立ち、いくつかの動きを取らせると、ほぼ100%の確率で、被験者に「無意識の動き」が発動しました。
この時、参加者の顔に「?????」という表情が浮かびました。
私は心の中で「きたきた」と多少ほくそ笑みながら眺めていました。
アシスタントは、被験者の頭の方に座し、被験者の頸椎に触れています(触れているだけです)。三浦先生は足元で、被験者にある動きを指示しただけです。
そうすると、被験者のからだは、無意識の動きを発動しているというわけです。
しばらくの間(動きながらでも被験者は対話可能)、どうみても意識的な動きではないからだの表現が続き、それが収まります。
収まった後、アシスタントが頸部をチェックすると、圧痛硬結は消失しており、被験者も「あれ?」という顔をしているのです。
これは、無意識の動きが発動した例です(他にもやり方はあります)。
被験者が無意識に動き出すのを見て、アシスタントのゴンちゃんが「みんな、驚いてショック受けてる」と言っていました。また、ショックで倒れる人もいましたっけ。。
これが、一人ではなく、数人の被験者に連続して起こりました。
「porque?(なんで?)」が、大好きなスペイン人(この時はスペインの方のみならず、イタリアとかオランダとかイギリスとか色々いらっしゃいましたが)の頭の中に
「porque??」が溢れかえってぐるぐる回っているのが見えたようです。
さらに、三浦先生が続けます。
「これは、僕だけができることじゃない。みんなもできる」
「でも、もっと勉強しないとね」
あとで「飽きっぽいスペイン人があんなに集中していたのには驚いた」という話も聞きました。
なお、これは昨日の出来事です。
五行易(断易)を習い始めてもうすぐ四年目になりますが、同じクラスの方が、ムチ打ちをやっており(車ではなく職場でやったため、労災で接骨院に三ヶ月通っている)、まだなんだか良くならず、という感じということでした。
寝てもらうわけにも行かないので、私は後ろに回って、その方の右横突起あたりに触れてみました(私は頸椎の視診触診が得意なのです)。
私は意図的にそこに触れ、ちょっと(ほんのちょっとです)押してみました。
「いたたた!」とその人は声をあげ「どうしてここだったわかったの?」と聞くので、私は
「プロだから(笑)」と答えました(実際、見るとわかるのです)
その10秒後、その方は
「あれ~っ?!」と声をあげました。
何で声をあげたか、私には分かっていました。
「首のモヤモヤがすっきりした?!」
勿論、根本的なケアをしたわけではないので、長くは続かないと思いますが、瞬時に、ちょっとの間でも、三ヶ月(接骨院に行ってても)続いていたモヤモヤが解消したということです。
これは、操体の原理を知っていれば、わかるはずです。
なお、これらのことは、三浦先生が
「これは、僕だけができることじゃない。みんなもできる」
と、おっしゃったように、できるようになります。
当然ながら、勉強は必要です。