東京操体フォーラム実行委員ブログから転載します。
思い出深い出来事です。
写真などは下のリンクからどうぞ。
一番思い出深いのは、操体専門で開業してまだ1年目か2年目のことです。
ある会社の方々が、会社ぐるみで操体法を気に入ってくださり、よく来て下さっていました。
そこから、取引先の会社の社長に、接待で操体を受けてもらいたいとのオファーを受けました。
当時の私はまだ「第一分析」とか「連動操体」バリバリの時代でした。
端的に言えば、首が痛いと言えば、首の運動分析をして、辛い方から楽な方に動かして、瞬間急速脱力を試みるという時代です。
多分1994年頃でしょうか。
その会社の方に付き添われてやって来た「取引先の社長」さん。主訴は「首を動かすと痛い」とのこと。
当時の私は「首の運動分析ををして、楽な方に動かして、瞬間的に脱力させる」という動診操法か、今でもたまにやりますが(これだけは得意)、仰臥位で首を反らして頂き、脱力させるというのをやっていました。
首は(受けた方はお分かりになると思いますが)、スコン!と入りますし、鼻がスーッと通ったりします。頭もすっきりしますし、首も楽になります。
その会社の皆さんも、多分その威力?を知っているので、「取引先の社長さん」にもやって欲しいと思ったのでしょう。
これについては、今でもやりますが、かなり難易度が高いのと、初心者が見よう見まねでやると危ないので、伝授する人は選んでいます。
自分から「やってもいいですか」「やりたいから教えて欲しい」という人には、敢えて待って貰っています。
「教えて欲しい」という時点で、まだ早いのです。
私から「この人には教えてもいい」と思う人に伝えています。これは出し渋りでも何でもなく、その人の「操体度」を見ているのです。
というのは、以前「プログラム通り」に教えていて、ある受講生に危ない目にあったからです。
自分で首を保護しなければ、頸椎損傷とか、ヘタすれば、C1骨折で死んでたかもしれないのです。回転させるべきところを、思い切り引っ張られたのです。
そして、私は一瞬焦りました。
というのは、その「取引先の社長さん」は、
自分では、周囲にはバレていないと思っているけれど、周囲は皆知っていて敢えて黙っている「ズラ」の方だったのです。
これは、仰臥位で、床にアタマをつけて、首を反らせて、というのをやると、ズレる可能性があります。
飛んじゃったりしたら、連れてきてくれた会社の人の首も飛びそうです。
その時は、腰掛け位で頭部に触れる箇所は、指先二箇所というテクニック(これをテクニックというのだと腹の底から思いました)を駆使し、何とか満足して頂きましたが、あの時は本当に焦りました。
今は、首に痛みがあっても、首に触れずに、ズラにも触れずに動診操法を行えますので、大丈夫です。