こんにちは。
TEI-ZAN操体医科学研究所の畠山裕美です。
「操体ではきもちよさを探さない」ではない
「操体では、楽な方に気持ちよく」ではない
「操体では楽と快を混同しないよ」と、書き続けていますが、1番の対象者は
「操体を他者に指導、施術する皆さん(あるいはプロになりたい)」です。
橋本敬三先生は、患者さんには
「操体は簡単だヨ」と仰っていましたが、弟子達には
「よくもこんな大変なことに足を突っ込んだな。でも操体は面白いぞ。一生たのしめるからな」
と、仰っていたと私の師匠の三浦寛先生から聞いています。
私は後者、つまり操体を学び、操体のプロになりたい、施術者になりたいという人に向けて、このブログを書いているつもりです。
なので、操体初心者の方などからは「難しい」と言われることもありますが、すいません。プロ向けに書いてます。
もし、もっとわかりやすく、というのでしたら、私の「施術+ベーシック講習」に
来ていたければ、ご説明いたします。
★施術を受けられて、なおかつセルフケアの講習がパッケージになっています。
施術+ベーシック講習 | 操体法の講習 | 操体法 TEI-ZAN操体医科学研究所
橋本敬三先生は、何故患者さんには「簡単」とおっしゃったのか。
操体法東京研究会の講習に参加サブ講師をさせて頂いてから20年以上経ちますが、操体の操者は、かなりのマルチタスクを要求されます。
前提条件として
・診断あるいはチェック、カウンセリング(視診・息診等)
・実際に被験者・クライアントのからだに触れての触診
を行い、被験者の愁訴を確認します。なかには、被験者が訴えている場所とは異なったところが原因(火元)だったりすることも多々あります。
その「火元」を見分けられるようにするのも、操体実践者の勉強です。
我々が何年もかけて学ぶのは、操法よりもこちらなのです。
操体の治療を「火元・火種を消す」ということがありますが、これを説明すると、
火事になって、火災報知器が鳴ります。愁訴がある箇所ばかりを気にして、例えば痛みのある腰や膝や首を色々いじくり回すのは、火災報知器のサイレンに水をかけているようなもので、肝心の火元や火種を消していないということです。
水をかけ続ければ、火災報知器もいずれはぶっ壊れます。。
からだも同じで、痛みや愁訴を訴えているところを、我々手技療法の治療家がむやみやたらにいじっても壊すことになりかねません。
次に、実際の施術・操法です。
・からだの使い方、動かし方
・介助法、補助法、導誘法など
・患者(被験者)のみならず、操者もからだを操る【この辺りは武術の修行並み】
・言葉の誘導(患者・被験者・クライアントは、操者の言葉通りにからだを操ります)
・患者・被験者・クライアント本人とではなく「からだ」と対話する方法(実はこれがかなり大事です)
・患者・クライアント本人との対話法(中には聞かずに全部お見通しの先生もいらっしゃいますが、基本的にクライアントは自分の愁訴を訴えたいことが多々あるので、私はしっかり聞きます)
こんな感じです。
なお、クライアント、患者様は、今の辛さ、今の状態から一刻も早くよくなりたい、と願っています。
我々は、それに対して色々トライするわけですが、クライアントや患者様にいちいち操体の小難しい理論を説明することはありません。
なぜならば、あまり難しいオーダーや問いかけは、時にクライアントや患者様にとっては苦痛になるからです。
三浦先生の臨床を見せて頂いても、私自身もそうですが、患者様、クライアントには、難しいオーダーはしませんし、しつこく聞いたりしません。
患者様/クライアントの負担は最小限
操者は視えないところで、操体の理論をフル活用
となるのです。
以前「操体は色々しつこく聞かれるから(きもちよくないのに、きもちいいかって聞かれると腹が立つのよね。こっちは痛いから来てるのに、という人もいました)嫌い」という人がいました。
そうなんですよ。痛くて来ているのに、きもちよくもないのに「きもちいいですか」とか聞かれるのは苦痛でもあるんです。
(きもちよくないのに、きもちいいですか、と聞かれると「きもちよさを探す」方にいっちゃったり、自分はきもちよさがわからないので、操体を受ける資格がないのか、と落ち込む方もいらっしゃいます)
そんなことをカバーして、患者様・クライアントには最小の負担で操体をうけていただくんです。
橋本敬三先生が、患者さんには「操体は簡単だヨ」とおっしゃり、弟子には
「よくもこんな大変なことに足を突っ込んだな。でも操体は面白いぞ.一生楽しめるからな」と仰ったのは、こういうことなんだなと感じます。
なので、操体臨床家や、指導者を目指す方は「操体って簡単だヨ」という「対患者様・クライアント向け」の言葉だけを見てはいけません。
その後の
「よくもこんな大変なことに足を突っ込んだな」というのが、操体のプロの道です。
ただ「操体は面白いぞ.一生楽しめるからな」というのは本当だと思います。
人生の半分以上操体をやってますが、確かにその通りです。