操体法大辞典

操体の専門家による、操体の最新情報など

東京操体法研究会の定例講習に参加して(畠山裕美)

操体法東京研究会の定例講習に参加して、という現受講生の声をまとめました。

 

teizan.com

 

そこから、私の投稿をご紹介します。

 

 

畠山裕美 東京操体フォーラム実行委員 定例講習他。


操体をやっている人は星の数ほどいるけれど、操体の専門家は数えるほどしか存在しません。操体専門臨床家への登竜門、それが操体法東京研究会の定例講習です」

簡単にまとめますと、私が操体法東京研究会の定例講習に参加したのは、三浦先生のあくなき操体への求道心に共感したのと、操体の理論に共鳴したからです。
今年で操体を学び始めて25年位になりますが、面白い上に、相変わらず進化が止まりません。「家元が一番アバンギャルドである」というのをそのまま体現しているのが、三浦寛先生です。

 

そして、第二分析から第五分析、連動は、三浦寛先生が創案、体系づけたもので、これらの分析法は、操体法東京研究会でしか、学ぶことができません。
(こちら以外、あるいは一般社団法人日本操体指導者協会会員以外が講習を行っていたりした場合は、ホンモノではありませんのでご注意ください)

 

アバンギャルド:「既成概念に囚われず、新たな表現方法を開拓しよう」という20世紀初頭に起こった芸術運動

 

また、私が入門した当時は第三分析が確立されており、私が入門した当時、三浦先生は「連動」に関する研究をなさっている最中で、その直後に「手関節と足関節、末端関節からの全身形態の連動」をまとめられました。これは、操体関係者よりも他の療法の方や、スポーツ関係者に受け入れられました。

何故かというと、橋本敬三先生も、著書の中では「末端は全身形態に連動する」とは書かれているものの、どこがどう連動するか、という説明はなさっていなかったのです。なので、多くの操体関係者は「患者の動きなんて、みんな違うじゃん」(三浦は何を言ってるんだ)と言ったのです。目線の効用について最初に操体に取り入れたのも、三浦先生です。

しかし、連動の法則は「ボディに歪みがなければ、全身形態は、ある一定の法則に従って動くが、(自然な連動)ボディに歪みがある場合は不自然な連動を起こす」ということです。つまり、操体関係者が「患者の動きなんてみんな違う」と言ったのは、当然です。患者(被験者)は、ボディに歪みを抱えているからです。
動きが皆違うのは、理に適っているのです。

 

このように、連動、またこれから説明する「快適感覚に特化した動診と操法(第二分析)」、皮膚へのアプローチ、すなわち渦状波(第三分析)も、三浦先生が発表した当初、操体関係者は、否定したのです。

 

しかし、今現在では当時それらを否定した関係者も、快とか目線とか皮膚など、を認めはじめています。
しかし、多くはきちんと三浦先生から学んでいないため、中途半端になっています。例えば「楽と快の区別がついていない(第一分析と第二分析の区別がついていない)」。
皮膚へのアプローチも最近は類似的なことを行っているところがありますが、大抵は皮膚に対する刺激(引っ張るとかずらすとか捻るなど)です。


例えば、「快」。操体は当初、楽か辛いかの二者択一の分析が殆どでした。橋本敬三先生の操法の中には、二者択一ではなく、「この動きは比較的きもちいい」一つの動きをさせるもの、例えば前屈なら前屈(前屈と後屈は体の構造上比較対照できる動きではない)や、百会の辺りや頸椎7番の辺りを押さえて、首を上に伸ばすようにさせるというものもありますが、多くは楽か辛いか、やりやすいかやりにくいか、の二者択一です。

 

そして、橋本先生が85歳で現役を引退なさった時、またはそれ以降に「きもちのよさで良くなる」「楽と快は違う」「動きより感覚の勉強をしなさい」とおっしゃり、そこから「快適感覚に対する動診と操法」つまり、一つ一つの動きに、快適感覚の有無を問いかけ、きもちのよさがあれば、そのきもちよさを十分味わうという第二分析が誕生しました。

 

なお、やり方は第一分析なのに、言葉だけ「快」「きもちよさ」を使っているケースが非常に多く見られます。「楽な方に気持ちよく動く」という指導です。日本の操体指導者の99パーセントはこのケースに当てはまるか、もしくは「楽」と「快」の区別、第一分析と第二分析の区別がついていません。

 

そして、皮膚への接触、渦状波。橋本敬三先生は「運動系」の定義に「皮膚」をも含めていらっしゃいます。また、これは操体の盲点でもある「動けない患者、被験者に対してどうするか」という問題を解決し、操体の可能性を一気に広げました。

その後、呼吸を用いる第四分析、操体の概念を変えると言ってもよい第五分析など、時代のニーズに応じつつ、自然法則の応用貢献が進んでいます

 


そもそも私が操体を初めて習ったのは、三浦寛先生ではありませんでした。が、私自身が操体を勉強しようと思ったのは「操体法治療室」の三浦先生のパートを読んだからです。


操体法については、高校生の時、別冊宝島の「東洋体育の本」を読んでいて、知識はありました。しかし、多くの操体関連書籍がそうであるように、読んだだけでは分からず「なんだかよくわからない体操みたいなもの」という印象を持っていました。それをくつがえしたのが「操体法治療室」です。


その頃私は大手の整体学校に通っていましたが、そこで学ぶのは「OJT」(On the job training)と言えば聞こえがいいですが、学校併設の治療院、接骨院で即戦力になるような、テクニックばかりのものでした。私が操体に惹かれたのは「受け手の感覚」を重視する、あるいは、からだと心の繋がりを重視していることでした。また、当時は「痛い治療や施術は効く」という時代で、我慢して痛いのを受ける、という時代でしたが、「きもちのよさ」で良くなる、つまり、きもちのよさを味わうことによって、ボディの歪みが正され、患部(痛いところ)を直接操作せずとも、二次的に症状疾患が解消される、というセオリーでした。

 

もう一つは、私のルーツ(私は東京生まれですが、両親は宮城出身で、仙台は親戚が多く住んでおり、更に私は伊達政宗公が好きななのです)にも大変近い、仙台で生まれたもの、というのもありました。

 

三浦先生の講習(操体法東京研究会の講習、この講習です)に参加したのは、2002年のことですが、当時私は既に操体専門で開業しており、講習もある程度こなしていました。


操体関係の書籍も一冊出していました。

 

なぜ、三浦先生の講習に参加したかという理由をお話しましょう。
それまで私は第一分析と連動操体っぽいものをやっており、そこそこ結果を出していました。しかし、東京操体フォーラムの前団体とも言えるシンポジウムの場で、三浦先生の実技を見せて頂き、自分は「快とかきもちよさ」という言葉を使っているけれど、「快適感覚」と「楽な動き」、つまり感覚分析と運動分析の区別がついていなかったことに気がついたのです。

 

また、三浦先生の治療室に伺って「患者が美しく舞っている」姿を見、更には自分自身が患者として伺った時に受けた「皮膚へのアプローチ」、渦状波®には衝撃を受けました。

 

今まで私がやっていたのは、楽と快の区別もついておらず、また良かれと思って色々試行錯誤してやっていたことは、そこそこは間違っていませんでしたが、肝心なところが抜けていたのです。

 

そこで私は、それまでやっていたことを封印し(当然反対されましたが、反対する方々とは決別しました)、操体初心者として、三浦先生に弟子入りしたわけです。

そして、2006年、三浦寛先生に入門して4年目、三浦寛先生、今昭宏先生と共著で「操体法 生かされし救いの生命観」を出版することができました。

現在は、操体法東京研究会の師範代、三浦先生が不在時の講師代理、足趾の操法®集中講座の講師、視診触診講座の講師をつとめさせていただき、2010年から数回にわたる海外での操体セミナーには、サブ講師として操体の指導にあたらせて頂いております。

操体法東京研究会に参加してから、17年目になります。私よりも先輩は、岡村さんと半蔵さんですが、このように長い目で研究会の様子を見ていると、気がついた事があります。

 

操体の習得には3つの大きな軸があるということです。


1. 操体理論。橋本敬三の哲学などの理解
2. 実技(介助法、補助法、動診、操法
3. 道具(ツール)。

 

操体では道具は使いませんが、実技の結果を最大限に引き出す身体的な基礎を「ツール」と呼ぶならば、作法の習得、操体的なからだづくり、言葉の誘導、臨床家の手(触れた際に相手に不快感を与えない、癒しのちからのある)の作り方などです。

 

多くの操体法の講習で指導しているのは「2」それも、介助法補助法を指導しているという話は殆ど聞きません。2.実技 の 動診と操法 のみです。また、1.の操体理論、橋本哲学についても指導している、というところもあるかもしれませんが、操体理論の「第二分析以降」の理論指導をしているのは、操体法東京研究会のみです。

 

そしてもう二つ、重要なことがあります。
それは、操体の特徴「症状疾患にとらわれない」という方法を学べることです。症状疾患にとらわれない、とは、腰痛に効く操体法とか、膝痛に効く操体法とか、肩こりに効く操体法というのはない、ということです。


それでは、どうやって操法を選ぶのか。


大抵は、基本操体を一通りやって、自分が知っている動診と操法をやって、あるいは、○○に効くと、書かれている操法を選んで、という過程を経ます。
この、動診と操法を選ぶというのが操体の勉強の大きなヤマの一つです。
操体法東京研究会では、そのコツを学ぶことができます。
そして、その勉強は「想定外に強い」操体臨床家を育成します。

 

実際の臨床は「想定外」が殆どです。テキストに載っているような割り切れる症状の患者様やクライアントはまず来ません。いかなる(操体以外)の臨床、治療法においても、想定外に強いというのは強力です。

 

もう一つですが、操体を学ぶ事によって、操者自身の健康維持もはかることが可能です。


橋本敬三先生が、患者に対しては「操体は簡単だから、ちょこちょこっと自分でやればいい」と指導なさっていたのに対し。弟子には「よくこんな難しいことに首をつっこんだな」と、その大変さを労いつつも「操体は面白いぞ。一生たのしめるからな」とおっしゃったことが本当に良く分かります。

 

なお、この講習に向かない人を挙げておきましょう。

 

  •  短期間でテクニックだけ身につけたい人(2だけ覚えればいいと思っている人)
  • 師弟関係というのはバカらしいと思っている人(ルークとヨーダの関係がバカらしいと思っている人、と思って頂いても構いません)
  •  操体は健康体操であり養生法だと思っている人
  • 知的財産に対価を払うのは馬鹿らしいと思っている人

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ヴェネチアン・ガラスのうさぎ

 

 

53周年記念 操体法臨床講座開設

2019,年6月、操体法東京研究会の新規講座が始まります。

 

私が思うに、他の操体の講習では習えないことが沢山あります。

例えば皮膚にせよ、大抵は「引っ張る、捻る、絞る」などの刺激ですが(結構真似してやっているところがありますが、根本的に違います)、刺激ではなく「接触」によるものです。

また、被験者が腰掛け位で操者が後ろに腰掛けての上肢の前方、後方、真横伸展など、快適感覚を高確率で味わうことができる動診は、多分こちらでしか習えません(もし、やっていたら、ちゃんと習っている人ではありません。世の中には本を読んだだけでプロ向け講習をやる人もいますので、その辺りはご注意下さい)

 

2019年 操体法講習のご案内 - 操体 三浦寛 人体構造運動力学研究所

www.sotai-miura.com

 

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操体一覧。第五分析まで網羅しています。

 

2019年GW操体プレミアムベーシック&アドバンス講習

今年もGWに開催致します。昨年10月にマドリッドで開催した操体セミナー(三浦寛、畠山裕美による)を日本の受講生向けに再編成しました。

 

2019年GW操体プレミアムベーシック&アドバンス講習

 

操体法の基礎と応用が身につく「人生が変わる操体法」講座です。

操体法東京研究会メンバーだけが知っている、操体のコツのコツ」

 

2019年5月1日(水)・2日(木) ベーシック(基礎)

2019年5月3日(金)・4日(土) アドバンス(応用)

 

 

 

  • セルフケアはもとより、家族のケアに、操体の専門家を目指している方には最適の基礎と応用講座です
  • 今までに操体を学んだことがある専門家(現在の治療法に操体の考え方を取り入れたい、本や動画を見てもよく分からない)にも、最適です。

 

また「きもちのよさでよくなる」という操体のコアの部分を指導致します。

 

「楽と快の違い」を理解することは、操体を理解することに他なりません。この違いをはっきりさせることにより、結果を出すことができます。

 

操体に興味がある皆様へ

  1. セルフケア、家族の方のケアができるようになります
  2. からだの使い方、動かし方などの「操体の作法」を会得することができますので、普段の生活の維持増進に役立ちます
  3. 操体の臨床家を目指す場合の、入門基礎講座として最適です

 

専門家(臨床家、治療家など)の皆様へ

 

  1. 本を読んでもわからない、動画等をみてもわからないという原因を解明します(楽と快の違いなど)
  2. 操体を実際に行うには、単に実技を覚えるだけでは不足です。楽と快の違いや、関節のどこに手をかけるのか、どのように保持するのか、間の取り方など、実際の臨床を模して、動診から操法を習得することができます(介助法、補助法、言葉の誘導)
  3. 操体は「どの操法を選んだらいいのかわからない」という話をよく聞きます。大抵は「基本」と言われるものを順番にやっているようですが、本来はそのようなものではありません。動診と操法の選択方法を教授します(動診と操法の選択)

 

 

そして重要なことがもう一つあります。操体の大きな特徴の一つとして、操体の臨床自体が、患者(被験者)は当然のことながら、操者の健康維持増進と体調管理に活かせるということです。操体創始者橋本敬三先生は、96歳の長寿を全うされましたし、操体実践者は、比較的長寿者が多い事で知られています。

多くの治療家、臨床家は、治療行為、施術行為の中で、健康を害することが多いのですが、操体は「操者の健康」を守る方法があるのです。

 

操体臨床歴53年、講習指導歴31年、数多くの操体臨床家を育成してきた三浦寛【人体構造運動力学研究所 所長】が、効率の良い指導法を編み出しました。

 

2018年10月、マドリッドで畠山裕美と共に、操体法セミナーを開催致しましたが、言語も文化もちがうヨーロッパの方々に、操体の何たるかを四日間にわたって講義致しました。その時も、四日間、前半は基礎後半は応用というプログラムでしたが、その時の指導手法をもとに、実践的な操体法をお伝えします。

 

三浦寛は単発の講習は殆ど行っておりません(通常は二年間の定例講習)。三浦の操体、また、最新の「第五分析」に触れる事ができるチャンスです。

 

 協賛・協力

操体法東京研究会一般社団法人日本操体指導者協会

操体の講習は数多くありますが、その殆どは、実技のみの指導に終わっています。

また「介助法・補助法」として、どのように、またどこに触れるのか、その力加減などはを指導しているところは他にはありません。

 

つまり「どこにどれくらいの力で触れるか」という個別指導ができていないのです。

つまり「大雑把(おおざっぱ)」に伝わっているということです。

 

例えば、よく読まれている「万病を治せる妙療法」(農文協)に、操法のイラストが載っています。操体の動診操法で著名なものに、足関節を背屈させ、つま先をあげるものがありますが、その際、手のひらを被験者の甲に当てます。

この際、操者の手をどこに当てるか、そして操者はどこに立つのがベストなのか、それらが全く書かれていません。手を置く位置もイラストでデフォルメされています。

 

多くの方は、この「デフォルメされた」ものを参考にしているため、正しいやり方を知りません。

 

また、動診操法を行う場合、重要なのは「からだの使い方、動かし方のルール」ですが、一般的にはこれが「健康体操」として広まっています(般若身経)。

 

これは、健康体操としての一面もないことはありませんが、本来は「動診操法」、つまり臨床を行う場合の、操者のからだの使い方、動かし方のルールを示していることです。当然ながら、ルールに従って動診操法を行ったほうが、「自然法則にかなっている」ので、効果があがるのは、当然です。

 

なお、足関節の背屈により膝の裏の圧痛硬結が解消されると言う操法は、当たりはずれが多いという話をよく聞きます。

 

圧痛硬結が取れる場合とそうでない場合が極端なのです。

 

これは、どういうことが原因かというと、先程同様に、どこに触れるのか、操者のポジションと、操者のからだの使い方、動かし方の作法がきちんと行われていないからです。この作法をしっかり学ぶことによって「まぐれ当たり」をへらすことができます。つまり、確実に結果を出せるということです。

 

そして、操体経験者の中には

「どんな感じがするかとしつこく聞かれるのでいやになる」「きもちよくないのに、きもちいいかとしつこく聞かれてイヤになる」という「操者のしつこい質問問題」というものがあります。このテーマは、定例講習やGWの講習でも必ず出てくる話題です。当然ながら、この問題に対する対処法もあります。

 

平成が終わり、新しい時代が始まります。今回は10連休という大型連休が控えていますが、その連休をあなたの人生が変わるこの講習に費やしてみませんか??

 

まずは「操体を学ぶ事によるメリット」をご紹介致します

 

操体を学ぶことによるメリット

 

  • 「北風と太陽」の太陽のようなポジションでクライアントを癒す方法を取得できる(痛みや不快感、恐怖感を与えません)
  • クライアント・被験者に「きもちのよさでよくなる」という生命がよろこぶ臨床を提供できる
  • 自分自身の健康維持増進・セルフケア
  • コミュニケーション能力の向上(言語的・非言語的)
  • 原始感覚(快か不快かききわける力)が鋭敏になる
  • 直感・直観が研ぎ澄まされる(臨床家に必要な直感力が身につく)
  • バランス感覚及びパフォーマンスの向上

 

開催日時

ベーシック:         2019年5月1日~2日

アドバンス:          2019年5月3日~4日

 

時間 全日とも10時~17時(休憩時間含む)

場所:東京都世田谷区三軒茶屋1-30-9 三軒茶屋ターミナルビル34号


参加資格: 操体に興味がある方。日本語で受講可能な方

ベーシック、アドバンスとも、初日のみの受講は可能ですが、

二日目のみの受講はできません。なお、以前に操体法東京研究会、あるいは操体ベーシック講習を受講済みの場合はその限りではありません。その際はご相談下さい。

 

講師 

三浦寛(人体構造運動力学研究所 所長、操体法東京研究会主宰)
畠山裕美(TEI-ZAN操体医科学研究所、一般社団法人日本操体指導者協会代表理事

 


プログラム

 

ベーシック(基礎)

5月1日(水)・5月2日(木)

  • 操体操体法の起源と概念 (自然法則の応用貢献)
  • 4つの要素の関係(同時相関相補性)
  • 操体法の理論と実際
  • セルフケア
  • 動診と連動
  • 介助補助(抵抗、ではない)
  • 患者のからだと対話する
  • 動きをチェックする
  • 基本的な動診と操法

 

 

アドバンス(応用)

5月3日(金)・5月4日(土)

  • 操体法をさらによく知る
  • 治療前にリラックスさせる
  • 様々なポジションによる実技指導
  • 患部に触れないという方法
  • 最新理論の応用
  • 質疑応答

  

特典 ベーシック・アドバンスの両講座修了者には、一般社団法人日本操体指導者協会より修了書を発行致します。

 

参加費用 ベーシック 二日間 60000円 

     アドバンス 二日間 60000円

ベーシック、アドバンス同時受講の場合は110,000円と致します

 

 

お支払い方法 
銀行振込・クレジットカード決済(詳細はお申込時にお知らせ致します)

 お申込締め切り 4月24日(水)

お問い合わせ TEI-ZAN操体医科学研究所 畠山裕美

 sotai@teizan.com   または 03-3675-8108まで

 

お申込   お申込フォーム からどうぞ。

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2018年 マドリッドでのセミナー。指導する三浦先生

 

「快・不快」「心に聞く」

あれ?どこかで似たような言葉を聞いたことがあるような??

 

 

「やる気が出ない」が一瞬で消える方法 (幻冬舎新書)

「やる気が出ない」が一瞬で消える方法 (幻冬舎新書)

 

「原因はあなたの心の中にあるのではない」というオビがついています。

 

「快・不快」ではなく「正しい・正しくない」「損か得か」という生き方をしていたり「本当は不快だけど、人の顰蹙をかうのがイヤだから我慢する」ということをしていると、いわゆるバグが起こり、無気力状態が起こるのです。

 

また、我々のようなプロが「ご自宅はこんなことをやってみてください」と言っても「ダメそうだからいいです」とか「自分でアレンジしてやってみたけどダメです」というケース、結構あります。

 

それは何故起こりうるのか。「万能感」というヤツの仕業です。

「快・不快」ではななく、自分のモノサシでジャッジすることを万能感、といいます。

 

「万能感」とは、、端的に言ってしまうと、自分主体の考え方になっていて、すべてを自分の思い通りにさせようとする感覚のことです。万能感を持っている人は物事を自分基準で「ジャッジ」する癖がついています。前章でも述べましたが、「快か不快か」という判断基準で物事を捉えるのではなく、「快だけど周囲から反感を買うと判断してあきらめる」「不快だけど今やめたら努力が無駄になると思って我慢して続ける」など、自分のジャッジで「快・不快」を捻じ曲げてしまい、バグが起きているのです。

しかも自分が「万能感」を持っていることにはなかなか気づけないケースが多いため、余計に事態をややこしくしてしまいます。

 

 

 ここでは「心」を例にあげていますが、からだも同様で、快か不快か、ではなく「かずをこなしたほうが効きそうだから」とか「辛くても痛くても我慢すれば治りそうだから」「やりにくい方や痛い方を余計にやれば良くなりそうだから」と、

 

いわゆる「欲」(損得勘定)で色々やると、捻じ曲がってバグが起こるわけです。

 

そして、我々操体指導者は「からだにききわけて、教えて下さい」という言葉をよく使います。

 

それは何故か。

 

  1. 「この操法、もう一度やってみたいですか?」
  2. 「回数の要求はありますか?からだにききわけて、教えて下さい」

 

という問いかけ方があります。1は「本人」の「思考」に聞いているので、損得勘定が働いて「もう一回やったほうが効きそうだし、回数が多いほうが得な気がする」ということで、アタマで考えて「(しばらく考えて)う~ん、もう一度お願いします」

 

となります。

 

2は、「からだにききわけて」と、「からだ」を主語にしています。

不思議なことに、「からだにききわけて」という言葉を使うと、言葉がからだに伝わるわけです。

 

一体なんのこっちゃ??と思う方のために、説明しましょう。

 

ある時、九州の鍼灸師柔道整復師の方が「きもちよさで良くなるなんて本当か。信じられないから一度操体を受けたい」と、東京にやってきました。

 

足趾の操法をやってみたところ、爆睡していらっしゃいました(気持ちよさそう)。

その後、起きた時に「如何でしたか」と聞いたら「不快だった」と答えました。

この時、私の受講生も同席していたのですが、その答えを聞いて皆吹き出しそうになったのです。

「あんなに気持ち良さげに寝てたじゃん(爆)」

 

快適感覚とかきもちよさに対して、懐疑的な方だったので、「きもちよくて爆睡した」と認めるのはイヤだったのでしょう。

 

その後、その方は三浦先生の臨床を受けました。

 

渦状波®を受けて、やはり爆睡(きもちよさそうに)。そして臨床が終わって声をかけても爆睡しているので、弟子が「終わりましたよ~」と、からだに軽く触れたところ、目を覚ましました。

「如何でしたか。気持ちよさそうに眠っていらっしゃいましたね」と弟子が尋ねると

「全然きもちよくなかった」

「よく眠っていらっしゃって、お声をかけても起きられませんでしたヨ」

「目を開けたらいけないと思って我慢して目をつぶってたんだ」

 

これは非常に分かりやすい例ですが、たまに「きもちいい」というのを頑なに拒む人がいます(勝負してるわけじゃない)。

 

主に中年以降の男性ですが「オトコたるもの、そんなに簡単にきもちよさに籠絡されてはならん」とか「そんなに簡単にきもちいいとか言ってはいかん」という主義があるのかもしれません。

 

つまり、からだは「きもちよくて(はたからみてもきもちよさそうにみえる)爆睡して、いやされている」のに、意識(アタマ)は、「そんなことがあるわけない」と、拒否しているということです。

 

これを理解していないと、本当は体は大喜びして癒されているのに、本人の意識がそれを認めておらず、施術者に文句を言い、施術者は「本当は、からだは十分に癒されているのに、本人の意識から文句を言われる」ということになるのです

 

なので、我々は最初から「本人の意識」に聞こうとは思っていません。

「からだにききわける」のです。

 

 

そして「心に聞く」ことですが、

 

いちいち悩まなくなる 口ぐせリセット

いちいち悩まなくなる 口ぐせリセット

 

 この本には、著者が催眠療法の先生に出会い、催眠療法を受けて人生が変わった話が載っています。

最初は「アルコール依存症のカウンセリングに応用できればいいな」という軽い気持ちで参加し、先生がオーラ全開のヒーラーっぽくない人(普通のサラリーマンのおじさん)だったので、やめようと思い(笑)、最後に催眠の被験者になるという話が出て来ます。その経験が著者を変えるのですが、

「心よ」というキーワードをつけて、自分に問いかけるという手法が生まれます。

 

これは私達が「からだにききわけて、教えてください」の「心バージョン」ではないかと思いました。

 

ちなみに、私の周囲でも「心よ」というキーワードをつけて自分に問いかけるという話は、最初「?」という感じでした。

 

そして「なるほど」と思ったのは「アタマで考えていることと心は違う」という話です。

 

みんな揃ってやらなくてもいい

運動指導で思い出しました。

 

ある時、デイケアサービスで働いている人から電話を頂きました。

私が1999年に書いた本(改定版を出したい)を読んで下さっており、デイケアや入所している人に指導していらっしゃるとのこと。

 

「一つ問題がありまして」

「何でしょう」

「みんな、揃って一緒にやってくれないんですよ」

 

「????」

 

体操的なものを想像すると、みんなで一緒にやらなきゃ!と思うのかもしれません。

 

「あ、それでいいんです」

「各自が自分のペースでやればいいんです」

「みんなで揃って一緒にやる必要はありません」

 

「それが、操体です。体操じゃないですから。自分のペースで、自分の感覚に従ってやればいいんです。こっちの人が寝転がっていて、こっちの人が起きていてもいいんですよ」

 

「あっ。そうですね!」

 

指導者の立場としては、みんな揃って動いてくれて、揃って脱力!というのを期待していたのかもしれませんが、みんな一緒に動きを揃えてやる必要はありません。

操体なんだから。

 

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健康運動指導士資格更新研修に行く。

2月17日は、操体の講習のお休みを頂いて、健康運動指導士の資格更新研修に行って来ました。

東京操体フォーラムのメンバーの中では、香さんと私が持っている資格です。

要は、医療機関などで、運動指導(メタボ指導とか)ができる(すごくざっくりしていますが)ものです。私が取得した時は、管理栄養士さんとか、看護師さんとか鍼灸師が結構多く受講していましたね。

 

実習では、心電図を取るとか、そんなのもありました。

 

私がもう一つ持っている「公認運動指導者(スポーツプログラマー)は、どちらかといえば「スポーツ」の名前のように、スポーツ好きな人がもっと元気に、みたいな感じです。

しかし、健康運動指導士は、運動が好きではない人に、運動をするチャンスを与えて、継続させるという指導もします。

 

健康運動指導士は、例えば心筋梗塞の運動リハビリや、服薬している方の運動処方なども行います。

 

今回は終日座学ですが、必須の講習で、

「健康日本 21(第二次)」を中心とする国の施策の現状及び健康運動指導士の役割」

認知症機能低下を予防するための身体活動とその効果」

「各疾患者への運動療法、服薬者の運動と注意点」

というプログラムでした。

 

ちなみに「認知症」の話はなかなか興味深いものがありました。
そして、講師の先生のお名前が「飛雄馬」さんでした(それかい)。

いや~。お父さんがよっぽど巨人ファンだったか?

 

そこで配布された資料に

医療機関と健康運動指導士等との連携による運動療法の在り方に関する調査・研究

http://www.health-net.or.jp/tyousa/houkoku/pdf/42_gaiyou.pdf

という資料がありました。

 

気がついたのは、

一 方、性別構成でみると女性利用者が男性利用者に比べて約7割と高い。男性の利用割合が低い背景には、男性の地域における「居場所づくり」の難しさが考えられるため、利用者どうしの対人関係を容易にする雰囲気づくりや、長期的にフォローできる体制
を整えていくことが重要となる。

 

という箇所でした。以前、操体のサークル活動をしているところの話を聞きましたが、参加者の殆どはマダーム達で、男性は奥方に無理矢理連れてこられたという感じ。

 

また、マダーム達が集合してすごいパワーを発揮していたら、殿方も躊躇するかもしれません。これは性的な差別ではありませんが「男性向けの操体メンテナンスのクラス」とかあってもいいかもしれません。来やすいでしょうし。

 

なお、会場(飯田橋)から、東京大神宮までは歩いて5分程度だったので、お昼休みに参拝に行きました。お天気も良く、春のような日差しでした。

伊勢神宮の東京分祠です。境内で赤福も売ってますよ)

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東京大神宮



 

 

原理原則と創意工夫。

「イサキ」という操体関係の小冊子があります。
「万病を治せる妙療法」をメインというかお手本にしていると私は理解しています。

 

その冊子に、編集の方が「熊本に行った際、イサキでは新しい取り組みや工夫は載せないのか」というような質問を受けたそうですが、基本的にイサキ誌では、「橋本敬三先生の残したことが総論の原理原則で、各論は本筋の原則を見失うことにならないか?型にはめないためには常に原理の確認が大事なのでは。工夫のやり方を聞くのも大切。皆さんはどうお考えですか」という文章があったので、私なりに考えてみました。

 

この「新しい取り組みや工夫」というのは、想像するに「皮膚へのアプローチ」とか「第二分析」かもしれません。他にも○○操体ってありますけどね。

 

今は、ネットがありますので、調べれば最近の操体では「皮膚」へのアプローチはじめ新たな取り組みがある、ということは、すぐ分かります。

 

 

新しい工夫というリクエストがあるのもよくわかりますが、私自身、

 

イサキでは、

 

新しい工夫ややり方は、載せないで、原理原則を貫き、万病を治せる妙療法系を貫いてもらいたいと思っています。

 

原理原則は大切だからです。

 

我々操体法東京研究会のメンバーは「からだの設計にミスはない」を写本したり、「生体の歪みを正す」のどこに何が書いてあるかほぼ把握しているメンバーもいます。橋本哲学を深く勉強しているのです。

 

三浦先生の「生体の歪みを正す」などを見せていただくと、付箋と書き込みで厚さが1.5倍くらいになっています。

 

 

 

はっきり言えば「操体はみんなのもの」という、言葉を使って「新しい工夫」などを勝手な解釈で掲載するのはやめたほうがいいと思うからです。

 

新しい工夫を掲載するのであれば、それを考案した方に、ちゃんと教えを乞うべきです。それを「操体はみんなのもの(だから勝手に使っていい)」ということにはなりません。

 

操体関係者の悪いクセで、「きもちよさ」をはじめ「目線」「皮膚」など、最初は否定する割にはしばらくすると、

 

さも最初からそれが操体にあったような感じで、

 

「皮膚への操体マッサージ」とか、ちゃんと勉強もしない割には、言葉を拝借して「操体はみんなのものだから、皮膚の操体もそうでしょ」みたいな言い方をするんです。

 

また「第二分析」も、操体法東京研究会で使っている用語ですが、当研究会以外の人が、使っているのを見かけます(使うなら勉強して使ってほしいし、難しいとか難癖つけるなら、勉強してからにして欲しいと思います)。

 

 

 

ちなみに、私は仏教を勉強していますが、仏教も「お釈迦様の教えを忠実に守る」つまり、上座部仏教(今は小乗仏教とは言わない)と、大乗仏教に分かれました。

 

上座部は、お釈迦様のなさったことを、大乗はその時代に合ったものとして発展していったのです。

何かが発展する場合、創始者のなさったことを忠実に守る派と、その時代にあった形になるものが出るのは当然です。

 

しかし、

 

 イサキの読者の方が、新しい工夫を知りたいのであれば、「イサキ」にそれを求めるのはお門違いです。新しい工夫ややり方を知りたければ、実践しているところに求めるべきであり、ちゃんと対価を払って勉強しにくるのが仁義というものです。

 

 

操体はみんなのものだから、皮膚へのアプローチもタダで教えて欲しい」なんていうのは、「原理原則」と「それに沿った創意工夫」を混同しています。

 

橋本敬三先生も「自然法則の応用貢献」という言葉を使われています。

私にとっては「原理原則」よりも、こちらの言葉のほうが近い感じがします。

 

皮膚も、軸も、連動も(色々臨床的に工夫を積み重ねたものがあります)原理原則をもとに創意工夫したものです。

何度も言いますが、創意工夫にはコストも時間もかかっているんです。

 

 

それを「みんなのものだからタダで教えろ」というのは、ハリセンではたきたくなるくらい、アホです。

 

これを混同しているから「講習会の受講料が高い」とか「橋本先生からは操体をタダで習ったから受講料を取るのは間違っている」ということになるのです。

 

そしてこの場合は、原理原則と、実際の臨床実技を混同しているのです。

 

橋本敬三先生の時代には「からだを間違って使ってぶっこわしたんだから、動かして治せばいい」で済んだのです。

 

しかし、今は「からだを間違って使ってぶっ壊した」というよりも、心や環境の問題でぶっこわしている方が圧倒的に多い。

 

そのために創意工夫が生まれたわけです。

なので、今から40年50年前の操体に比べると、現在のものは、相当繊細に進化しています。ジェンダーの問題や、社会的環境の変化なども当然ながら関わってきています。

 

しかし、揺らがない原理原則の提示は必要です。

 

 

因みに、いわゆる第一分析は、原理原則ではなく、原理原則に基づいた、昭和の時代のやり方です。その当時の社会的状況にマッチしたものだったのです。

 

 

原理原則というのは「生命現象は快に従う」「救いと報いの関係性」などを言うのであると理解しています。

 

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