操体法大辞典

操体の専門家による、操体の最新情報など

操体法入門 手関節からのアプローチ

あけましておめでとうございます。今年もどうぞ宜しくお願い致します。
操体操体法について一層の精進をしたいと思っています。

年初は「連動」について書かれた本書を紹介したいと思う。


操体法入門 足関節からのアプローチ

操体法入門 足関節からのアプローチ


橋本敬三先生は、その著書の中で連動、という言葉を何度か使われているが、私の記憶にある限り、実際に連動ということを示したのは1箇所、「万病」の中で、例えば仰向けに寝て、足の親指だけを動かしても足の親指しか動かない。しかし、足の親指を動かぬように押さえて、足の親指を動かすと体の他の部分が動く、というような事を書かれている。

「全身形態は連動装置になっている」

連動:ある部分を動かすと、それに応じて他の部分も動くこと。これは辞書(infoseek辞書)に書いてある言葉だが、連動とは、「ある部分を動かすと、それに応じて他の部分も動くこと」そのままだけだった。

その「ある部分」と「他の部分」というのはどこなのか?という問題に正面から取り組んだのが本書である。

「誰もやらなかったから、取り組んだ」というのが著者の話であるが、このように動きの一つ一つを細かく分析して、その流れをある程度解明し、体系づけたのは大きな業績だと思う。

勿論、今までも「○○筋はどこそこの関節をどのように動かす」というような学問は存在したが、末端の手関節、足関節を動かすと、全身形態がどのように連動するのか、ということを、8種の動き全部から検証したものは、他にはない。

このように、道筋を作ってくださったおかげで、私達弟子や、これから操体を学びたい、あるいはからだの仕組みが知りたい、という者は途中まではガイドに沿って歩いて行くことが出来る。

(なお、手関節編、足関節編共に2刷となっているが、両方とも1刷に加えて加筆訂正されている。以下は足関節の内反における訂正文) http://www.teizan.com/yukai.naihan.html

操体の臨床に必要不可欠な、動診『動かして診る』を行うに際して、この連動の理解は大きな道しるべとなる。

からだの(関節)の動きは8つしかない。
手関節でいえば、背屈、掌屈、外旋、内旋、橈屈、尺屈、手首前腕として、牽引と圧迫
足関節えいえば、背屈、底屈、外転、内転、内反、外反、下肢全体として、牽引と圧迫

このそれぞれの動きに、ある法則性があり、からだが動くのである。

例えば、立位で右上肢を前方水平位に位置し、外旋した場合、肘は軽く曲がりながら正中に向かい、右肩は下がり、体重は左足にかかり、(腰は左に移動し)左肩は上がり、右の踵は軽く浮く。

これは「身体運動の法則」の一つ「重心移動の法則」の「側屈」に相当する。

最初、このからだの動きの法則性を著者が説いた時、「連動なんてみんな違う」という反発があったという。

しかし、それは『からだに歪みがあるから、連動が不自然になる』のだ。あるいは、基本の姿勢が不自然な場合も同様なことが起こる。

例えば、腰掛け位にて、上記と同じように右上肢を外旋させた場合、本来なら右側屈(体重は左臀部にかかる)すべきところ、左捻転してしまう場合がある。

この場合、考えられるのが、
・被験者のからだに歪みがあり、自然な連動が起こらなかった
・腰掛け位をとった時、背筋を伸ばさずに、丸め気味にしていた

などだ。

ここで、「不自然な連動はいけないのか?」という質問を聞くことがあるが、必要があって、不自然な動きをしているのである。いけないわけではない。