操体法大辞典

操体の専門家による、操体の最新情報など

言葉の意味を考える

人間の3大本能というと「食欲」「性欲」「睡眠欲」と言われている。これは肉体を保持し、子孫を残していくために必要な「欲」だ。ところが最近、「睡眠欲」は3大本能には入らず、「食欲」「性欲」「集団欲」というのが3大本能といわれているらしい。なるほど。マズロー欲求段階説も面白い。

マズローの欲求段階説(自己実現理論)

ところで「煩悩」というと、「お釈迦様は「煩悩を滅却せよ」とは言っていないらしい。
「みんな持っていて無くすことはできないから、上手くコントロールしなさい」ということらしいが、いつからか「持っていてはいけないもの」とか「修業して滅却するもの」という捉えられ方をするようになったようだ。

先日「要求」と「欲求」の違いは何ですか?と聞いている受講生がいた。これは、要求が「快」であり、欲求が「楽」と言い換えてもいいかもしれない。キリスト教では「要求」が「霊」で、「欲求」が「肉」というらしい。

本能=instinct
欲=ambition  
欲張り=greed 

「楽」と「楽しい」がちがうように、「欲」と「欲張り」は違う。
「欲」はコントロールが必要だが、「欲」がないと生きていけない。これは肉体と種族保存の為に必要な欲だ。「欲張り」というのは「アタマで考えた欲」、と考えるとその違いがわかりやすい。

私達は「楽」がダメだと言っているわけではないし、「欲」が悪いと言っているわけではない。
「楽」「楽しい」ことの違いが分かっている。

操体では「快か不快かをききわける力」を原始感覚、と言っている。原始感覚というと「本能」を思い浮かべる人が多いかもしれないが、そこはちょっと違うところなのだ。

安易に原始感覚=本能 としてしまうと、「原始感覚が鈍っているということは、食欲、性欲、集団欲(あるいは睡眠欲)が鈍っている」ということになるが、現代はこれら3大本能が鈍っているようには見えない。

とすると、原始感覚=直感力としたほうがやはりしっくりくる。直感力とは「あ、これ好き!」「これは嫌い!」とききわける力であり、それが鈍っているというのは「私、どっちが好きか嫌いかわからないんですけど、教えてくれませんか」と人や情報に頼っている状態だ。

以下は自分用メモ。

今「自我」という言葉を調べていた。自我は「エゴ」と訳されるが、この「エゴ」という言葉自体には、ネガティブな意味はない。哲学における自我、精神分析学における自我がある。
これが「利己主義」になると「エゴイズム」になる。日本人は横文字言葉を短縮し、意味を変えて使う習性?があるが、エゴイズムを「エゴ」と言っていることがある(私もあるかも)。前後の文脈でそれは推測できるかもしれないが、気をつけたほうがいいと思った。
また、「自我」(エゴ)という言葉を「利己主義(エゴイズム)」の代わりに使っていると場合もある

メモ続き。

メールにレスする、と言うが、本当はメールに対しては reply という言葉を使う。response というのは、反応、反響、質問に対する回答、返報を指すので、「リプライする」というのが本来?の使い方なのだ。

昔、幼女連続殺人事件が起きた時、英会話学校に行っていた。同じクラスの生徒が、犯人のことを
"He is special."と言ったところ、先生が、それは special、ではなく"He is different."と言うのだと教えてくれた。

そういえば「セレブ」という言葉も、日本では本来の英語"Celebrity" とは何だか違う使われ方をしている。アメリカでは「有名」なのがセレブなのだが、日本では有名じゃなくても「金持ち」をセレブと言っているようだ。面白いな