操体法大辞典

操体の専門家による、操体の最新情報など

「間」と「呼吸」。

相手の呼吸を読むというのは
何事においても大事なことだ。

呼吸を読む読まないの前に、私達のからだは、
自分の呼吸によって動いている。
息を吸えば胸郭が広がり、足底の重心は踵側へ移動する。
息を吐くと胸郭が縮まり、足底の重心はつま先側へ移動する。

武術や剣術、剣道の試合でも、相手が息を吐いたらそこを狙う。

橋本先生の著書には確か、泥棒だか強盗だかが、華道の先生の
家に押し入って、先生を斬ろうとしたのだが、呼吸が読めず
ついにあきらめた、というようなことが書いてあった。

華道の先生の呼吸には、スキがなかったのである。

例えば、操体の動診で、操者が被験者(患者)の上肢に
介助を与える際、操者は被験者の呼吸を見ているのだ。

 

講習で、受講生が操者役で介助の練習をしていて、
うまく決まらないとか、あるいは先生に
「早すぎ」と言われるのは、被験者の呼吸を読んでいない
(というか、読む余裕がない)のも理由の一つだ。

セカセカ呼吸で介助をかけても、「間」を逃してしまう。

また、言葉の誘導をするにせよ、
最初の第一声で「間」をはずすと、後が大変だ。


言葉の誘導、慣れないうちは恥ずかしいとか
声が出ないとかで「ぼそぼそ・・」なのだが、
操者が声を発することによって、被験者の呼吸を
誘導しているのだ。

 


 古いビデオで、橋本敬三先生が患者を診ている
シーンがある。
ぱっぱっとやっているシーンしか写っていないが、
あれも呼吸を読んでいるのである。

女性の患者を仰向けにし、首を反らすよう指示し、
力を抜かせる。
はたからみると簡単なころをやっているように見えるが
実は被験者の呼吸を誘導しているのである。

さて、呼吸を読む、間を読み、間を生かすには?
そしてその訓練法は?