操体法大辞典

操体の専門家による、操体の最新情報など

日米操体事情。操者と操者の脱力

夏休みを利用して、十数年ぶりにお子さんを連れて帰省中の、
アメリカ在住の鍼灸師Aさん。

アメリカで鍼灸学校の三年生の時、必須科目で "Japanese Acupuncture"
というのがあり、そこで操体を知ったとのこと。

指導していたのは、アメリカ人の先生で、日本でムチ打ちになった時、
操体で治ったのだそうだ。

彼女は、鍼灸治療の最後に操体をやっているのだそうだが、
自分がやっているのが本当?なのか少し疑問を抱いた。
そこで、帰省を利用して私のところに個人レッスンに来たというわけだ。

彼女の疑問は
「被験者と操者の脱力のタイミング」だった。
例えば、膝を左右に倒すものがある。瞬間脱力させる場合、
脱力時に倒れてくる膝を支えないと、危ない。
また、仰臥膝二分の一屈曲位での膝の開閉においても、
膝を開いたまま脱力させると、操者の支えがなければ、危ない。

伏臥位での下肢伸展も、操者が被験者の膝を保持していないと
膝が床に落ちて、危ない。

★実際危ない。

ところが「被験者と操者は一緒に脱力しなければならない」と
習ったのだそうだ。

★日本でもこのようにやっているところはある。

★「いろんなやり方があるから」という意見もあるが、いろんなやり方云々の前に、被験者(患者さん)が負傷したり事故が起きたりすると困るではないか。
「色々なやり方の先生がいますから」と言う前に、これは操体を行う上での、
最小限のリスク管理ではないかと思う。

 

私は考えた。

いくつか、
操者と被験者がほぼ(ほぼですよ)同時に瞬間的に抜くものがある。
それは「足関節の背屈」(いわゆる、つま先を反らすもの)への介助だ。

この操法は非常に有名なので、これが被験者操者がほぼ同時に脱力
するため、他の操法もそうだろう、ということで、
「被験者と操者は一緒に脱力しなければならない」となったのだろう。

一緒に脱力(本当は少し差をつけるのがプロ)するのもあるし、
操者が支えを作って、安心して脱力できるようにサポートするものも
あるということだ。

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日陰で涼む近所の猫。