操体法大辞典

操体の専門家による、操体の最新情報など

からだに優しい治療。その1。。

一昔か二昔かもっと前、

整体とかカイロは「バキバキ・ボキボキ」の世界だった。

スーパージョッキー」(なつかし)では、
コワモテの整体の先生が、軍団のメンバーを痛めつけていた。
(私の知っている先生2人は出演経験あり)
指圧やマッサージも「強圧」とか「強モミ」の世界だった。

 

ところが、1990年代を境に、
例えばカイロで頸椎損傷の事故が多発したりして、
ボキボキ・バキバキは余り流行らなくなってきた。

これは、あきらかに1945年(昭和20年)から「陰」の時代に
入ったのと、21世紀になり、男性的な「力の時代」から
女性的な「感覚の時代」に入って来たことと合致する。

 

操体自体も、楽な方に動かして瞬間急速脱力するという
男性的な第一分析から、「きもちのよさをききわけ、味わう」という
第二分析が誕生した。

そしてその後は、皮膚に刺激を与えずに、
接触でもってアプローチする第三分析が誕生した。

 

「力で制する」時代から
「柳に風」ではないが、しなやかな時代に移行したのである。

カイロプラクティックや、指圧もそうだし、
昔は「泣くほど痛い」「泣き疲れて寝た」というウワサ?の
ロルフィングも「筋膜を剥がす」という痛みを与えるものから
変化しているらしい。

 

以前も書いたことがあるが、

何故、大河ドラマ平清盛」がコケたかというと、
まさに「陰」の時代の幕開け、2010年代の初めに、
よりによって、武士の時代のはじまり、つまり「陽」の時代を
象徴する清盛をテーマに選んだからだ。

 

世の中が「陰」の時代、つまり
女性性、感性の時代となり、

症状疾患も、痛みやコリなど、怪我や重労働、
からだの使い方の間違いからくる「実」の症状疾患よりも

メンタルの問題や、押してみると元気がないが、
奥の方に半粒大のしこりが存在するような「虚」の
状態が多く見られるような時代になってきているのである。

 

操体と他力的療法はどう違うのか。

操体というものをやっています」というと
ほぼ100%の確率で
「整体とどう違うんですか?」と聞かれる。

説明には少し時間がかかる。

が、先日師匠と島津兼治先生(柳生心眼流)の「正骨範」の講習に
参加した際、師匠が

「整体や他力(療法)は、悪いところを動かすけど、
操体は、いいところを動かすんだな」と、私に向かってつぶやいた。

なるほど。その通りだ。

 

たまに、

「他力的療法を受けて壊された」という人がやってくる。
知人が整体の勉強をしていて、試しに受けたら首を痛めた、とか
肩がおかしくなったとか。

これは、施術者の腕にもよるのだろうが、
壊されたというのは冗談にもならない。

 

実は、私も昔壊されたことがある。

知人がライターをしており、様々な健康法を
取材して試す、というコラムを執筆していたのだが、
アシスタントの子が就職してしまったので、カメラマン兼
アシスタントしてくれない?ということで、ある手技療法を
受けにいったのである。

そこで写真を撮るだけのはずだったのだが、計らずも
受ける羽目になった。

痛い!と叫んでもやめてもらえず、
筋肉や脂肪があまりついていない肩の辺りを
「凝っている」と、ぐりぐり揉まれ、
その最中は生きた心地がしなかった。

本当に「殺される」かと思った。

その後一週間位は体調がおかしかった。

 

痛みを瞬時に与え、
その後はすっきり、というものもあるが
そうではなかった。
繰り返す強い刺激。
痛い!と叫んでも容赦なく続く強い刺激。

殆ど拷問である。

ガタイがいいとか
鍛えているとか、対外的な刺激に慣れている
そういう男性ならばいいかもしれないが、
私にとっては刺激が強すぎた

トラウマになったといってもいいかもしれない。