映画『日日是好日』(にちにちこれこうじつ)公式サイト 2018年10月13日公開。
「オマエは映画ばかり観ていて、操体の勉強をせんのか」と言われそうですが、勿論操体もしっかり勉強しています。
今回、密林プライムで予告編を観てピンときて観たのがこれです。
その後、以前実行委員の半蔵さんが原作を紹介してくれたと寺本君が教えてくれました(すっかり失念)。
映画では、樹木希林さんが、味のあるお茶の先生を演じています。
すぐわかるものは、一度通り過ぎればそれでいい。けれど、すぐにわからないものは、フェリーニの『道』のように、何度か行ったり来たりしているうちに、後になって少しづつじわじわとわかりだし、「別もの」に変わっていく。そして、わかるたびに、自分が見ていたのは、全体の中のほんの断片にすぎなかったことに気づく。
これが、お茶だというのです。
操体の勉強と同じではないですか。
私はよく「世の中の九割のことはグーグル先生に聞けばわかるけど、操体はグーグル先生に聞いてもわからない一割のことに含まれている」と言っています。
三浦先生は、講習の途中で、よく「何か質問は?」と聞くことがあるけれど、お茶の先生に「なぜ?」と聞くと「なぜって聞かれても私も困るのよね。とにかく意味なんてわからなくていいから、そうするの」と言うのです。
学校では「わからないことは質問することがいいことだ」と習ってきた主人公は妙な気がします。
私がこのことに気づいたのは、2010年、スペインのマドリッドで操体のセミナーをやった時でした。
スペインの人達は「なんで?」と、聞くことが多いのです。
その時は「とにかく、操体ではそうやるし、そうなってんの」というしかないと思いました。これは10年前の事なので、今はもうちょっと上手く彼らに伝えられるかなと思っています。
また、蛇足ではありますが、最近スペインは「生きがい」(IKIGAI)という言葉が流行っているんだそうです。
この本の副題は「お茶」が教えてくれた15のしあわせ
といいますが、目次を書き出してみましょう。
- 「自分は何も知らない」ということを知る
- 頭で考えようとしないこと
- 「今」に気持ちを集中すること
- 見て感じること
- たくさんの「本物」を見ること
- 季節を味わうこと
- 五感で自然とつながること
- 今、ここにいること
- 自然に身を任せ、時を過ごすこと
- このままでよい、ということ
- 別れは必ずやってくること
- 自分の内側に耳をすますこと
- 雨の日は、雨を聴くこと
- 成長を待つこと
- 長い目で今を生きること
どうでしょう。
操体を「健康体操」とか「治療テクニック」と捉えているとこうはいきませんが、私の中で、操体は「かなり近いセンをいっている」と思います。
主人公(典子さん)が、色々なことに気がつくシーンがありますが、その辺りも、操体にかなり似ています。
また、我々(操体法東京研究会)は、「操体の作法」もしっかり勉強します。
作法とか「型」、最初はきゅうくつに感じるものなんですが、実は「自由」になるための一歩なのです。
即興(音楽にしろ劇にしろ、パフォーマンスにしろ)は、元々の「型」ができていないと、できないのです。基礎がない即興は、即興ではなく、単なる行き当たりばったりなのです。
ちなみに、我々東京操体フォーラムの実行委員は、正座すると手のひらを上にして、そけい部に置くクセ(というか作法)が身についているので、集合写真を撮ると結構笑えます。
本も良いですが、映画もかなり原作に沿っています。
操体を勉強するということは、お茶と学ぶのと同じ方向にあるのだなと思います。
操体を勉強している方は、是非お読みになって頂きたいと思います。映画もいいですよ。