私が子供の頃は「明治生まれのおじいちゃん」みたいな感じで、明治イコールおじいちゃんおばあちゃん、というイメージでしたが、令和になった今、自分も「3年号生きてるよね」と、感慨深い感じがします。
さて、来週開催の「2020年秋季東京操体フォーラム」ですが、テーマが「操体法クロニクルズ(年代記)」です。
文字通り、今までの某大な資料の中から、操体の歴史を見直そうというのが目的です。
そのついで、というわけではないのですが、データを掘り起こしていて「健康を取り戻す操体法」という、橋本先生出演のVHSビデオを見つけました(五巻組)。
当然ながら、現在は入手不可能です。 1981年1月1日発売ですから、フォーラム実行委員の中には、まだ生まれてない人もいる時期です。
最後に見たのはいつだか忘れたのですが、すっかり中味を忘れていたので、見てみました。
製作が「農文協」なのですが、農家の皆さんの健康維持増進のために、日々の暮らしのなかで生かせる、操体法の考え方を紹介しています。
面白いのが「歪み」のシーンでは、ウルトラQのテーマっぽい、怪しいダークな感じの
BGMだったりします。そして、動画ではなく、写真やスライドに解説がついているものなのです。
割烹着を着た農家のお母さんや、農道で草刈りをするお母さん。
実は母方の実家が、宮城と岩手の県境の農家だったりする私は、何だか激しく懐かしいものでした。
農家の皆さん向けの啓蒙もあるのだろうと思いますが「歪みは悪い」「歪みがおこるから病気になる」(あながち、間違いではないのですが)ということをうたっています。
操体には、もともと「不自然の自然」という考えがあるので「歪みを悪の権化」とは考えませんが、わかりやすく「歪みはよくないよ」という一般論で進めていることは、よくわかります。
これも「伝える相手によって内容を変える」という方法です(お釈迦様と同じ方式)。
なので「橋本先生はこう言った」「ああ言った」というのは「その人に合わせて伝えていた」解釈すればいいのではないでしょうか。
そして、その後に、橋本敬三先生がホテルオークラでセミナーをやった際、16ミリで撮影していたものをDVDに落としたものを見てみました。
この辺りをみると、現在我々がやっている臨床は、本当に練られたものだと思います。
橋本敬三先生がやっていらした映像をみると、かなり大胆ですが、持ち方や誘導の方法や、おそらく言葉のタイミング(ヒプノセラピー的でもある)は、やはり「名人」の香りがしますし、名人達人ほど簡単にやってみせる、というのも納得できます。
簡単に見えるので、真似してやってみても、簡単にはできないことも、よくわかります。
また、1980年代以前の医師の言葉と、現在の手技療法家では、言葉の重みが違うのも、事実です。我々は、この時代の橋本敬三先生と同じ言葉の誘導をしていいわけがないのです。
それから、三浦寛先生の「ナチュラル・ボディがよみがえる」「操体臨床の要妙」「操体法大全集」「SOTAI in Madrid」もちょっとずつ見直してみました。
三浦先生にせよ、今とは言葉の誘導は微妙に変わっています。
それは、誘導が「からだの中心、腰」から「末端」、さらに変わったこともありますが、根底に流れるものは変わりません。
さらに驚くのは(これは実行委員の寺本君も言っていましたが)、「ナチュラル・ボディ」などは、ビデオから「快」が伝わってくることです。
「操体法大全集」を撮った時、私も出ているので、ずっと立ち合いましたが、最後のほうは、スタジオが「快」で満たされて、意識が朦朧としたのを覚えています。
フォーラムで足趾の操法のデモとかやった時にいらした方はお分かりになるかと思いますが、会場に「快」の空気が溢れるとか、操体の臨床に立ち合うと、快の波動で自分も眠くなるとか、からだが反応するとか、あの感じです。
また、フォーラム(今回もzoomです)では、今まで撮りためたなかの傑作選も流す予定です。