操体法大辞典

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からだの声を無視した無理強いは、良くない。

先日知った「正心調息法」では、腹式呼吸と言っても、一旦肺の下部に吸いこみ、それから肛門を締めて、吸気を下腹に下して止める。

 

吸気をためるのは、よくやっている。

 

さて、

 

腹式呼吸は、体調が悪かったり、ギックリ腰とかやっていると、はっきり言ってできない。やるのが辛いだろう。

 

いくら健康にいいと言って、元気な自分がやっているからと言って、具合が悪い人に勧めるのは、感心しない。

 

思い出したことがある。

私の父は25年ほど前に、割と若くして亡くなった。亡くなる前数年は、人工透析をやっていた。今はどうか知らないが、当時透析をしていると、食べ物の制限があった。つまり食べられないものが多かった。

 

そんな時、両親と私である家にお邪魔した。

 

そこの人は、父に「おいしいから食べなさいよ」と、食事を勧めてきた(勿論父が透析をしていることは知っているはず)。

 

父が「透析をしているので、それはダメなんですよ」言っても「おいしいからさあ、食べなさいよ」という。何度断っても勧めてくるのだ。

 

母も驚いていたが、あまりに勧め方が激しいので、話に割って入れない。

 

最後に私が「すいません、父は透析をしているので、これは、食べられないんです!!!!」と、大声で制することになった。

 

私が大声を出したので、その人は勧めるのを諦めたようだったが、「美味しいのにねえ。。」と言った。

 

美味しい美味しくないの問題ではなく、透析してるからダメなんだってば!

 

と言っても通じないのだった。

 

この時「いくら言っても通じない」という怖さを味わった。

 

こんなケースはレアだと思うが、人によっては、アレルギーがあったりする。

持病などで節制している場合もあるのだ。

 

からだは、その時の状態にあった呼吸をつけてくる。

 

ギックリ腰で動けない人に「息を吐きながら瞬間脱力」という指示、それは余りに不親切ってもの。