操体法大辞典

操体の専門家による、操体の最新情報など

はじめて操体にトライする方へ。

先日書いたメモをまとめてみた。

これから操体にトライする方への参考になればと思う。

 

操体をこれからやってみよう、と思う場合のケースを考える。

  1. 健康維持増進のために自分でやりたい
  2. 自分が現在抱えている症状疾患を自分で治したい
  3. 家族にやってあげたい
  4. 治療家である

 

1~3は、家庭でセルフケアということになり、4は専門家だ。

 

1.健康維持増進のために自分でやりたい

この場合、殆どの方は、本を読むか動画を見るか、を考えるだろう。
しかし、一番早いのは「プロにやってもらう」ことだ。

 

健康維持増進のためなら、尚更のことだ。

操体の専門家であれば、その人のからだの使い方、動かし方のクセや、持っている症状疾患や傾向などをみて「操体のプログラム」を「処方」してくれるはずだ。

 

一度習ったものを毎日やる。

しばらくしたら、やっていることが外れていないか、チェックしてもらう。

意外と「右と左」「親指と小指」を取り違えていたりすることもある。

以前「教えてもらったことを毎日やっているけれど、どうもおかしい」という方がいて、やっているということを再現してもらったら、まるっきり反対のことをやっていて、これじゃ痛くなるよね、ということもあった。

 

チェックしてもらい、操体のプロに「この人は次のステップを指導してもいいかな」と、次のステップを教えてもらう。段々レベルアップするので、セルフケアのレベルもアップする。

 

 

2. 自分が現在抱えている症状疾患を自分で治したい

これについては、現在抱えている症状疾患の程度がどれくらいなのかにもよる。

 

たまに「操体は自分で治せる」ということで「何でも自分で動けば治せるのか」という方もいらっしゃるが、もし、それが可能であれば(何でも自分で動いて治せるのであれば)、操体法は世界中に広まっているはずだ。

「自分で治せる」というのは。健康の度合いが「自分で治せる」レベルにあるからだ。

 

個人個人が持っている「健康の度合い」が低すぎたりすると、自力自療まで及ばない。まずは、自力自療が可能になるまで、健康の度合いをアップさせる必要がある。

 

例えば骨折したとする。

骨折したら、まずは整復が必要だし、場合によっては手術も必要になる。
これを普通の人が自分でやるのは無理だろうし、放置しておいたら日常生活に支障がおこるような後遺症が残るかもしれない。

 

整復や手術、固定などは、やはりプロ(医師や柔道整復師)に任せることになる。
セルフケアは、その後だ。

 

なお、操体は患部以外のところから患部にアプローチできる。

これは、操体のメリットだ。

 

具体的に言うならば、足首を骨折した場合、骨折した場所を動かしたり触れたりせずとも、そこにアプローチし、回復を促すのだ。

 

いずれにせよこの場合は「自分でできるレベルになるまでは、プロにお任せ」することになる。

 

3. 家族にやってあげたい

この場合、家族と言っているが、大抵は「家族以外の人にもやって、いずれは操体のプロになれるといいな」と、考えていることもあるのではと思う。

家族にやるのだから、プロになるための技を習う必要もないだろうと思うかもしれないが、

 

操体の唯一の難点は

「中途半端がない」ということだ。

楽な方に動かして、瞬間急速脱力、と言う第一分析の「浅いレベル」でやめておくのならば、それでよい。「万病を治せる妙療法」を読んで実践すればよい。

しかし、第二分析の「快」というレベルに踏み込む場合は、家族にやろうが、プロの勉強が必要だ。

 

「楽」でやめておくなら、そこでやめておく。浅いところで我慢する。

「快」にまで踏み込むなら、どっぷり浸かる。

 

上澄みをすくうか、どっぷり浸かるかの二択なのだ。

この途中がない。

 

世の中の多くの人が操体を学ぶ際に迷うのが、

上澄みをすくっている(楽:第一分析)のに

沼の底(快:第二分析以降)の効果を求めているからだ。

 

二者択一の比較対照を選ぶのであれば「快」には踏み込まないことだ。

比較対照しか勉強していないのに「絶対値である感覚分析の快」を求めるので、

×「どちらがきもちいいですか」

×「楽な方に気持ちよく動いてからだを整える」→最悪のパターンだが、この間違いをやっていても気がついていない人は多い。その違いとは「楽(な動き)」と「快(適感覚)」という、運動と感覚の違いだ。

×「きもちよさを探して動いて」(きもちよさは、探しても見つからないし、そもそもこの問いかけは、診断分析(動診)を行ってから治療(操法)を行うという、操体法の初歩の初歩を取り違えている)

 

 

4.治療家である

これは「プロ向け講習」を受けることをお勧めする。

 

たまに畠山のベーシック講習で「渦状波を習いたい」という人がいたりするが、

渦状波や、息診息法、新重心理論は、三浦寛先生の講習でしか指導していない。

ベーシック講習は、操体の基本と、セルフケア・メンテが基本だ。

ただし、受講生によって目的は違うので、それは考慮している。

操体法東京研究会の講習を受ける前に、こちらを受けるという人もかなり多い。

受講生の半数くらいはベーシック講習を受けていると思う。

www.teizan.com

 

フォーラムは、フォーラムという通り。操体について操体識者経験者、実践者がテーマと操体に沿って発表したり、デモンストレーションをしたりするところだ。テクニックというよりも、操体のプロと接し、直接色々話を聞いたりできる場として、または、操体をやっている先輩の経験談や勉強法を直接聞くチャンスなどに活用してほしい。

柔道整復師鍼灸師理学療法士、健康運動指導士、スポーツプログラマーなどがいる。

また数多く存在する、操体法東京研究会の卒業生達のリユニオンの場でもある。

 

なお、東京操体フォーラム実行委員ブログ

にて、2023年5月14日から私が1週間書いているが、私が操体を勉強した時に、よかったのは、最初から本や写真をみてやってみたのではなかったことだ。

 

お陰で想像や勘違いをせずに済んだ。

 

(当時はyoutubeもなかったし)最初は実技ではなく、三浦寛先生の本や、橋本敬三先生の本で「操体とは」とか「橋本敬三哲学」を読んで学んだ。

 

実技については、本を読んで勘違いとかヘンなことをしていたらイヤなのと、ゆくゆくは三浦先生に習おうと思っていたので、実技を急ごうとは思わなかったのだ。

 

というわけで、まずは操体のプロから操体を受けることをお勧めする。

その時色々聞いてくれればいい。

 

操体もやっている人」ではなく「操体を専門にやっている人」にね。