操体法大辞典

操体の専門家による、操体の最新情報など

拈華微笑と操体。

こんにちは。TEI-ZAN操体医科学研究所の畠山裕美です。

暑い日が続きますが、今日は先程から空がにわかに曇り、雨が降り雷が鳴っています。

少しは涼しくなるかもしれません。

 

さて「拈華微笑(ねんげみしょう)」という言葉があります。

 

操体を学んでいて「からだの設計にミスはない」を読まれたのであれば、75ページをご覧下さい。

 

釈迦だってキリストだって、あれだけの人にしたって、その話を聞いた人がみんな
救われているかというと、そうでもない。
それは、一人か二人ぐらいはね、お釈迦様の話が通じたかもしれない。あの蓮華の
花を見てニッコリした男のように。ーーだから元祖の思想というのは後代になかなか伝わらないんだ。みんな宗派にわかれてしまう。

 

この「蓮華の花を見てニッコリした男」というところ、これが「拈華微笑」です。

 

 

 仏語。摩訶迦葉が釈迦から奥義を授けられたという故事を示すことば。釈迦が霊鷲山で弟子に説法しようとした時、梵王が金波羅華を献じた。釈迦は一言もいわずその花をひねっただけなので、弟子たちはその意を解せなかったが、迦葉だけがにっこりと笑った。それを見て釈迦は、仏法のすべてを迦葉に授けたと語ったという。出典 精選版 日本国語大辞典

 

 

超意訳:釈迦が霊鷲山で説法をした際、花(うどんげ・こんぱらげ)をもって微笑んだ。多くの弟子達は「え?なになに?お師匠何言ってるの?」だったが、摩訶迦葉だけが納得してにっこりした。それを見て釈迦は摩訶迦葉に仏法の全てを授けたと言った。

 

という話です。

 

橋本敬三先生は「自然法則は変わらないんだから」とおっしゃっています。

 

現在「色々なやり方があっていい」とは思いますが、自然法則に反したものは「色々なやり方」ではないと感じます。

 

自然法則に則っている→効果が見られる

自然法則に反している→からだがますますぶっこわれる

 

自然法則に反しているものも「いろんなやり方があっていい」となると、操体自体がおかしなことになってしまいます。

 

個人的には、橋本敬三先生が卒寿の席や、82歳の時に三浦先生に言われた

「楽と快は違う」「感覚を大切に」というこの辺りは押さえるべきところだと思っています。

 

「楽と快の違いを明確にする」ということが、私の操体に於けるレーベンス・テーマです。

 

これは「操体に於ける快とはなんぞや」という問いにも繋がります。

 

これは、読んだりしてもあまり納得できるものではないと思います。

実際に体験すると「あ、楽と快ってこんなに違うんだ」と気づきます。

 

初診のクライアントでも、これはわかります。

 

「楽と快」の違いがわかると、操体のナゾの半分以上は解決したようなものです。

 

なので私は

×「楽な方にきもちよく動く」(楽な方=きもちよくではない)

 

と、言い続けているのです。

 

何度も言いますが、楽な方は「楽で何とも無い」ことの方が多いんです。

また「楽な方にきもちよく」が通じることもありますが、その多くは元気で健康で普通に動ける方が体操的ストレッチ的な意味で使っています。

 

また、ギックリ腰であたたた状態の人に「楽な方にきもちよく動いて」と言ったら

「今痛いのに何言ってるんだこのアホ」

と言われますし、あたたた状態の人に「キモチヨサを探して動け」と言ったらこれも

「今痛いのに何言ってるんだこのアホ」

と、言われます。

 

痛い時は、痛くない方(楽な方)は動かしてみると見つかります。

しかし、動かして探してもキモチヨサは見つからないんです。

これは、実際に経験しないと分かりません。

 

なお、付け加えておきますが、身体能力が高い方は、ご自身で筋骨格系を動かすと、きもちのよさを味わえる方が、かなりの確率でいます。

私がみたところ、そういう方は「きもちよさが出てくる※」とよく言います。

元々の才能なのだと思いますが、どこか壊して操体を受けに来る方は、そもそもそんな能力が閉じられてしまっていることが多いのです。

 

※「きもちよさが出てくる」という言い方は、主語が「きもちよさ」です。

主語が「きもちよさ」になると「きもちよさ」に囚われ固執するケースがあります。

これを回避するには、「きもちのよさ」ではなく「からだ」を主語にするのです。

「からだにききわけて」

「この動き(比較対照しない)に、きもちの良さがききわけられますか?

 

「楽な方にきもちよく」と言う方は。机上の理論か、本当に悪い方を診ていない(臨床を行っていない)のです。

 

勿論人にはそれぞれ立場があるので、それが悪いとは言いません。

 

しかし「私は健康体操がメインだから『楽な方に気持ちよく』でいい」という人がいます。

 

それは「楽と快は違う」とおっしゃった橋本敬三先生の意思に背くことになります。

 

「楽と快は違う」とおっしゃったのは、橋本敬三先生です。

 

それを実際に操体の臨床(治療の現場)で立証し、効果を上げてきたのが、三浦寛先生です。

 

操体をやるのであれば、また操体指導者を養成するのであれば「楽と快の違い」を理解して、現場に臨んで欲しいというのが私の願いでもあります。

 

というわけで、20年以上

「本を読んでもわからない」

「患者さんが『キモチヨサ』をわかってくれない」

操体における快についてもっと知りたい」

 

という皆様の疑問を氷解させてきたのが

「楽と快の違い」をレーベンス・テーマ(ライフワーク)にしてきた畠山裕美(私)の

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猛暑の中、なかなか外に出るのは大変ですが、もしzoomなどでも宜しければレクチャーいたします。こちらはご相談ください。